ストキャスティクス(SRV-%K・%D・SLOW%D)の見方・使い方
チャート上では先行する%K線と、%Kを移動平均化することにより遅行する%D線の動きが異なる2本の線を表示し、その位置水準やクロスの仕方から、相場の転換点や、割高、割安の売買タイミングを探すことを目的とします。
SLOW%Dは、やや遅行性がありますが%Kと%Dよりダマシが少ないのが特徴です。
大きな値動きをする相場の場合、上下に張り付いてしまい役に立たなかったり、また、%Kと%D線の動きは早くダマシが発生しやすいという欠点もあるため、よりなめらかな動きをするSLOW%Dを使用するとダマシを少なくすることができます。
売買サインとして利用する場合、組み合わせ方は以下となります。
・ファースト・ストキャスティックス ストキャスティクスの使い方 SRV%KとSRV%D
・スロー・ストキャスティクス SRV%DとSLOW%D
日足 9日 25日
週足 5週 9週
月足 5ヶ月 9ヶ月
ストキャスティクスの基本的な売買サイン
買いシグナル
売りシグナル
スロー・ストキャスティクスによる大底の判断方法
買いシグナル
- SRV%DとSLOW%Dが20%以下から上向きに転じ、20%を超えてきた時
売りシグナル
- SRV%DとSLOW%Dが80%を上回ると上値が重くなるため売り
ストキャスティクスの作成方法(計算式)
ストキャスティクスと併用するのにおすすめの指標は?
ボリンジャーバンド
買いシグナル・・・ボリンジャーバンドが2σから3σ付近まで株価が下落した後に、ストキャスティクスがゴールデンクロスすれば買い
売りシグナル・・・SRV%KとSRV%Dが80%以上まで上昇し、その後に2線がデットクロスする
と見ます。
パラボリック
ストキャスティクスに、他の指標を併用して使う場合、同じ種類のオシレーター系を重ねても結果は変わりません。
ストキャスティクスは、高値に対し現在値の位置を表す指標です。
高値引けすれば、数値は上がっていき、高値圏になり、上ヒゲが伸びると、それが高値になるので、高値より現在値が安くなり、指数が下がっていきます。
押し目から初動の状態では、上ヒゲ無し(高値引け)のローソク足の形が多く、高値になるほど、上ヒゲが伸びたり、陰線になったり、利食い活動が現れます。
そう言う計算式からくる動きが反映されて、ストキャスティクスは、まだ株価は上昇する局面なのに初動の早い段階から80ポイント台に乗せてくることがあります。
このデメリットの部分を、どの指標で補えば有効活用ができるか?
わかりやすいものの一つとして、トレンド指標のパラボリックを併用します。
パラボリックは相場のトレンド転換点を計るトレンド追随型のテクニカル指標で、常に買いか売りのポジションを持つ「どてん(途転)」のシステムです。(下図参照)
買いシグナル・・・株価がSAR(桃色)の上に位置している期間
売りシグナル・・・株価がSAR(青色)の下に位置している期間
と見ます。
ストキャスティクスと併用して売買ポイントを掴みましょう。
ストキャスティクスの注意点
ストキャスティクスは、一定のレンジ内の価格変動や相場のトレンド転換時に非常に明確なサインを発します。
しかし、価格が明確な上昇トレンドや下降トレンドを形成している場合は、ダマシが発生しやすくなります。
例えば、株価の上昇の勢いが強い場合、ストキャスティクスが高値圏になったまま、80%以上で張り付くことがあります。
そのため80%以上の高値圏でデットクロスという売りポイントで判断する際には、株価の上昇の強さや勢いを見ながら慎重に判断する必要があります。
反対に、下降トレンドの場合、買いサインが出ていても戻り売りのタイミングだったり、再度安値を更新したりする場合があります。
ストキャスティクスは、あくまでも過去の値動きを表し、今後の値動きを推し量るものですので、他の指標と併用し、投資判断の一つの目安として利用してください。
「SRV-K・D」と「SRV-%K・%D」の違い
一般的に使用されてるのは、「SRV-%K・%D」の方です。こちらは、株価の動きに敏感に反応するため、短期売買に向いています。したがって、指標の動きは激しい動きになるため、買われ過ぎや売られ過ぎが比較的わかりやすく、緩やかな上昇トレンドや下降トレンドでは機能を発揮します。SRV-%K・%Dの注意点は、指標が敏感に反応しますので、株価が急騰する場合は、指標が天井に張り付いて、買われ過ぎ状態でもさらに株価が上昇する場合があります。また、株価が急落する場合は、指標が底値に張り付いて、売られ過ぎ状態でもさらに株価が下落する場合があります。
一方、「SRV-K・D」は、「SRV-%K・%D」より株価に対して反応が鈍く動きが緩やかになります。指標の動き緩やかなため、短期的な動きを捉えるよりも、指標の動きそのものが滑らかになるため、中期的な方向性を見るのに適しています。そのため、中長期の売買に向いていると言えます。ただ、中期的に方向性を捉える反面、買われ過ぎや売られ過ぎの状態を掴むことが難しくなります。上昇相場の場合、50%以上で推移するため、売られ過ぎ状態の時は押し目のタイミングが掴めにくく、買われ過ぎ状態の時が売りタイミングが掴めにくくなります。
◆執筆者紹介◆
伊藤正之
株式会社ストック・データバンク新宿事業所代表
手掛けた株価分析ソフト「株の達人」は、25年以上、延べ1万人以上の個人投資家の方々にご愛顧いただいています。(2021年1月現在)
同会員向けサイトでは、「日経平均株価の動き」等のチャート分析を活かした市況解説などでも会員の方々にご好評をいただいてます。
青木智
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)保持者
元・株式会社ストック・データバンク新宿事業所の投資コンテンツ担当。
現在はフリーランスで投資関連のコンテンツ等を手掛け、株の達人の会員サイト等にも動画や相場解説などのコンテンツを提供。
登録者数2.25万人以上(2021年1月現在)の株の達人Youtubeチャンネルの動画も手掛ける。
ストキャスティクス(SRV-%K・%D・SLOW%D)をトレードに活用してみましょう!「株の達人」 ならテクニカル分析を実践に取り入れるのもカンタンです。
上記の動画のようにストキャスティクス(SRV-%K・%D・SLOW%D)と相性のいいテクニカル指標を組み合わせたチャート条件やスクリーニング条件もご用意しておりますので、初心者の方でも安心です。
【単純】ストキャスティクスとは?使い方とトレード手法3つ
鈴木拓也
動画をご覧になった方も、復習で記事を読めば、理解がグンとアップしますよ!
ストキャスティクスの仕組みと2つの種類
ストキャスティクスは3種類の線で構成される
- H3:(C-L5)の期間3の合計
- L3:(H5-L5)の期間3の合計
- H:期間5の最高値
鈴木拓也
数式がいくつも出てきているけど、後で説明する使い方だけ覚えればトレードはできるので安心してください。
2種類のストキャスティクス:ファストとスロー
ストキャスティクスは、ファストストキャスティクスとスローストキャスティクスの2種類があり、以下のような仕組みです。
- ファストストキャスティクス:「%Kと%D」
- スローストキャスティクス:「%Dと%SD」
結論から申し上げますと、ファストストキャスティクスは敏感に反応する分ダマしが多く、実際のトレードでは 動きをより遅くしたスローストキャスティクスが使用されています。
一方、右側のスローストキャスティクスでは、数値は滑らかに動いており、ダマしが少なく、より実践でのトレードに適していると言えます。
鈴木拓也
ストキャスティクスはファストとスローがあるけど、スローの方を使うようにしましょう。
MT4にストキャスティクスを表示する方法
すると、設定画面が表示されるので、ファストストキャスティクスの場合は「スローイング=1」とします。
逆に、スローストキャスティクスの場合はスローイングを3と入力します。
ストキャスティクスを使った3つのトレード手法
- 買われ過ぎ・売られ過ぎによる判断
- %Dと%SDのクロス
- ダイバージェンス
手法1:買われ過ぎ・売られ過ぎ
一つ目のトレード手法が、ストキャスティクスが0に近づけば売られ過ぎ、100に近づけば買われ過ぎと判断して逆張りで仕掛けることです。
ストキャスティクスでは、20以下で売られ過ぎ、80以上で買われ過ぎという指標になります。
- 80以上になっても上昇トレンドの勢いが強く更に上昇するケースがある
- 20以下になっても下降トレンドの勢いが強く更に下落するケースがある
RSIなどの他のオシレーター系指標にも言えることですが、相場の勢いがある時は、そのまま買われ過ぎや売られ過ぎの領域に指標が張り付いてしまうケースがあるため、 これ一つのシグナルでエントリーをするのは危険 です。
手法2:%Dと%SDのクロス
二つ目のトレード手法は、%Dと%SDのクロスで売買シグナルとすることです。
下図のチャートのように、 %Dが%SDを下から上へ抜ければ買いでエントリー、上から下へ抜ければ売りでエントリー をするポイントとなります。
どんなテクニカル的な手法でも、ダマしは必ず存在します。
手法3:ダイバージェンス
三つ目トレード手法は、「ダイバージェンス」と呼ばれる為替レートとストキャスティクスの逆行現象をとらえて逆張りで仕掛ける方法です。
ダイバージェンスとは、為替レートとオシレーターが逆行する現象のことで、例えば、為替レートが下落しているのにストキャスティクスの安値が切り上がれば、 下降トレンドの勢いが弱まり、上昇トレンドへ転換するシグナル となります。
また同様に、為替レートが上昇しているのにストキャスティクスの高値が切り下がれば、上昇トレンドの勢いが弱まり、 下降トレンドへ転換するシグナル となります。
鈴木拓也
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